センター長挨拶
我が国が今後実現すべき超スマート社会(Society5.0)では、「経済的発展と社会課題の解決を両立し、人々が快適で活力に満ちた質の高い生活を送ることができる人間中心の社会」を目指す必要があり、地域のスマート化による地方創生や地域企業によるイノベーションの創出が期待されています。特に、地方からデジタルの実装を進め、社会全体に新たな変革の波を起こし、地方と都市の差を縮めることで世界へと繋がっていく「デジタル田園都市国家構想」は、我が国の成長戦略の鍵となることが指摘されています。
この構想を力強く牽引していくためには、AI(人工知能)・DS(データサイエンス)・ICT(情報技術)を中心とした、地域における特色のある研究・教育プラットフォームを整備することが必要不可欠です。
こうした状況を踏まえ、広島大学ではAI・DS・ICT教育の開発と普及、企業との連携による研究力の強化を推進するために、その拠点となる「AI ・データイノベーション教育研究センター」を令和2年に設置いたしました。
本センターでは、「AI戦略2019」で謳われているように、①広島大学および中国地区の企業・自治体に対してICT知識とAIおよびDSの実践的活用スキルを習得する機会を提供し、②企業・自治体の保有するビッグデータを用いた共同研究を通して、AI・DS・ICT分野における新たな手法の開発や研究領域の拡大、さらに新商品や新たなビジネスモデルを構築するためのイノベーションを創出することを目的とします。
さらに、③全国的に不足しているデジタル推進人材を育成するために、広域連携活動を通じて、広島県はいうに及ばず、中国地区全体の高等教育におけるデジタルリテラシーの向上や、企業との連携による社会人リスキル教育の普及にも努めて参ります。
本センターでは、AI部門、データ解析部門、計算科学部門、連携部門に加え、令和4年度から新たに教育部門を開設しました。企業・自治体・高等教育機関の皆さまと連携を図りながら、各部門が一丸となって地域において真に役立つ教育研究センターにとなるよう活動を行って参りますので、ご指導・ご鞭撻を賜りますようよろしくお願い申し上げます。
土肥 正(どひ ただし)
AI・データイノベーション教育研究センター センター長
情報科学部 学部長(教授)
略歴
1991年 広島大学大学院工学研究科システム工学専攻修士課程修了
1995年 博士(工学)取得 広島大学
広島大学工学部第二類助教授、広島大学大学院工学研究科教授、広島大学情報科学部副部長などを経て,2022年4月より現職(広島大学情報科学部長)
専門分野
耐故障計算、ソフトウェア工学、信頼性理論、オペレーションズ・リサーチ
著書
T. Dohi, K. Trivedi and A. Avritzer ( eds.), Handbook of Software Aging and Rejuvenation, World Scientific, Singapore (2020).
M. Ram and T. Doh (eds.), Systems Engineering – Reliability Analysis Using k-out-of-n Structures, CRC Press, New York (2019).
M. Ram and T. Doh (eds.), Advances in Applied Mathematical Problems, River Publishers, The Netherlands (2019).
T. Dohi and T. Nakagawa ( eds.), Stochastic Reliability and Maintenance Modeling, Springer, London (2013). など
共同・受託研究
定性的信頼性・安全性知識活用の技術検討(三菱 UFJ リサーチ & コンサルティング)
データマイニング手法を応用した定性的信頼性/安全性解析支援ツールの開発(独立行政法人情報処理推進機構)
次世代ソフトウェア信頼性評価技術の開発とその実装(独立行政法人情報処理推進機構)など